HTC-100について
HiTEC様の製品ページ:https://hitecrcd.co.jp/products/traincontroller/
KATO(ユニトラック)/TOMIX(ファイントラック)のどちらにも使える汎用パワーパック(パワーユニット)ですね。
ポイント用出力もしっかりと付いています。
走行出力はPWM方式です。
分解しよう
早速バラしていきます。
裏面4か所のネジ(裏蓋)、基板固定ネジ4つを外します。
さらに常点灯ボリュームのツマミ・メインボリュームのツマミを真上に引っこ抜き、表からボリューム固定ナットを取ると基板が外れます。
基板をみる
それでは基板を見てみましょう。まずは表。
固体コンデンサですね!通常の電解コンデンサより長寿命になります。これは評価ポイント。
中央やや上にある3連コンデンサはTOMIX/KATOポイント駆動用、コイルと金属皮膜抵抗はKATOのポイント駆動用と思われます。
それならコンデンサの容量はもう少し大きい方がいいような気もしますが・・・
2つのボリュームは、中央下部にあるマイコンが出力するPWMデューティ比を変更するツマミになります。
左側が常点灯のボリュームです。
3連コンデンサの右にある黒い部品はレギュレータ。マイコンの5V電源用です。
どでかい方向スイッチのすぐ右にあるのがスイッチング用トランジスタです。
マイコン下部の5連スルーホールはたぶんプログラム書き込み用です。
表面実装まで外注で、プログラム書き込みと大物部品&ケーブル類実装を別工場か自社かでやってるんだろうなあ・・・という感じを受けます。
では裏面も見てみましょう。
裏面配置の部品はなし。おそらくノイズ対策のために電源ーマイコン周辺回路についてはGNDベタで覆ってある格好です。
ちなみに表面にもGNDベタがあります。ベタ全体にビアが打ってあるのは、本来はGNDベタの電位勾配をなくすためです。
(ビアが無いと逆にノイズを誘発する)
でも基板を見るかぎりはベタ同士の配線用っぽいビアしかないですね・・・GNDベタの本来の用途は想定してなさげな設計。
さらにベタが角ばってるのはNG。アンテナになってしまうのでちゃんと面取りしましょう。ここは減点ポイント。
パターン幅は2A流せるようにかなり広く取ってますのでOK。
ここまで基板を観察してきましたが、パッと見では保護回路がどこにあるのか分かりませんでした。
もしかしてACアダプタに保護任せてたりする?
それともマイコン周辺で電流センシングしてるのか・・・深くは追いません。
出力波形をみよう
最後に走行用の出力波形です。23.44kHzのPWM制御になります。
10Ωのセメント抵抗を接続し、その両端を測定して取得しています。
どうも常点灯とメインボリュームの値を合算してデューティ比を算出しているっぽく、どちらを操作しても波形は変わりません。
常点灯→0%~およそ50%
メインボリューム→0%~100%
の間でデューティ比を調整できます。ボリュームを回し切ると10.5V前後の直流が出力され、それ以上の電圧は出ません。
Siダイオード2つ分くらいの電圧降下がありますね。
常点灯ボリュームを5/1くらい回したときの波形がこちら。
コイルの影響でインパルス応答みたいな波形がでます。
さらに回して半分くらいのときはこちら。
周期の立ち上がりが急峻なのはコイルの影響。全体的に正弦波のようになっているのはコンデンサの影響を受けるためです。
75%くらいの波形はこちら。
電圧が落ちきる前に立ち上がってます。この後は100%までいくとただの直流になるので省略。
全体的にポイント回路と配線共用みたいな配線になっているため、LとCの影響が出力波形にもがっつり出ている結果となりました。
そうした意図がいまいちわからない。
総括
走行回路とポイント回路が切り離されてない謎で夜しか眠れません。
せっかくマイコン使うなら低速域だけPWM周波数下げるとか、もっと高級な制御すればいいのにと思った次第です。
いちおう手持ちの動力(TOMIX、KATO、GMコアレス)で走行試験もしましたが、何とも言えない・・・
低速域ははまあ普通でした。悪くはないけど良くもない。
ただファイントラックとユニトラックのどちらにも使える利便性は良いです。
走行試験用としての1台って感じで持っておくのは悪くないと思います。
ふつうのブラシモータにはPFMパワーパックが一番低速効きますね。ワンショットの電力が大きいのでLEDが低速から明るいのも良き。
コアレスモータには応答良すぎてPFM制御は向いてませんが、一般的なKATOやTOMIX、マイクロの車両にはPFMパワーパックを使うのがベターと思います。
市販されてるのは見たことありませんが、安価で作れるのでPFMもぜひ一度お試しください。
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